福島県郡山の仲間で、冬も水を張る「冬・水・田んぼ」を続けているのが、中村和夫さん、増戸義治さんです。農家紹介欄にも書いてありますが、4,5年前から田んぼに水を張ったら、それぞれの田んぼに白鳥が飛来するようになり、今では双方で300羽を超えるようになりました。
白鳥はベジタリアンです。耕さない冬・水・田んぼには、稲株が残っており、稲の根が生きているので、落穂とともに美味しいご馳走なのです。耕すと、そのご馳走が土の中にすき込まれて埋もれてしまうので、耕した田んぼでは食べ物にありつけません。ですから、白鳥にとって耕さない冬・水・田んぼは大好きな食卓でもあるんです。
土・日になると、地元の人たちが子供やお孫さんを連れて、白鳥に会いにやってきます。何もない冬の農村地帯にあって、ちょっとした人気スポットになっています。田んぼは米だけをつくるところではない、ことが実感できます。
3月17日、この白鳥を見送る「また会うべ会」を行います。白鳥が田んぼの上空を旋回して、一路シベリアへ向けて飛び立つ雄姿を見送ろうという企画です。はたしてそう旨くことが運ぶかはやってみなければわかりませんが、ともかく集まろうというわけです。
実は、この企画が持ち上がったのは、この白鳥の田んぼが、例年ものすごい田の草に覆われ、稲が草に負けて、収量が少ないということが続いているからなのです。中村夫妻は「田んぼのお客さんだし、地元の皆さんが喜んでくれているので、いいですよ」と笑って済まそうとしていますが、ちょっと白鳥さんと折り合いをつけたいのです。例年、3月いっぱい滞在するのを、少し旅立ちを速めてもらい、農作業に取り掛かるのを早めたいのです。
というわけで、3月17日、東京駅から貸切りバスが出ます。詳細はまたお知らせしますが、ご関心のある方は、ぜひ一緒に行って、シベリアに旅立つ白鳥を見送りましょう。